相続税を期限内に支払わないと延滞税や加算税が発生する!
遺産を相続した場合、控除額を超えた分に対して相続税がかかります。相続税は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に申告し、納めることが義務づけられています。これを正しく行わないと、罰則の税金を別途支払うことになります。
ここでは、延滞税、過小申告加算税、無申告加算税、重加算税について説明していきます。
延滞税は2ヶ月以内に支払わないと税率が倍に!
延滞税とは、相続税を申告したけれども支払い期間内に納めなかった場合にかかる税金です。つまり、無申告のときにはかかりません。
本来の納期過ぎた翌日から2ヶ月以内に支払えば、税率は7.3%ですが、それを1日でもすぎると2倍の14.6%になってしまうので注意が必要です。
過小申告加算税では、不足分に対して10%の税率が課せられる
過小申告加算税とは、期間内に相続税の申告をし税金も納めたけれど、実は支払うべき金額よりも少ない額で申告しており、税務署からその通達を受けた場合に発生します。
この場合、修正申告を行い、改めて不足分の税金を納めることになるのですが、その際に不足分に対して10%の税率をかけられるのです。ただし、このときに支払う不足分が最初に納めた額より多かったり、もしくは50万円を超える場合には、税率は15%に上がります。
あくまでも税務署から通達された場合であり、自分で気がついて自主的に不足分を支払えば、過小申告加算税を課せられることはありません。
無申告加算税の税率は、状況や金額によって変化する
無申告加算税とは、文字通り相続税を期間内に申告しなかったときに発生する税金です。その税率は状況や相続税額によって変わってきます。
- 納付期限後に自主的に申告をした場合:5%
- 税務署から通達で申告した場合、支払う税金のうち50万円までの分:15%
- 税務署から通達で申告した場合、支払う税金のうち50万円を超える分:20%
重加算税は、故意に相続税を少なく申告した場合に発生する
重加算税とは、正しい相続税額を知っていながら故意に少なく申告したり、特定の相続財産を隠したりしていたことがわかったときに発生するものです。悪質な行為のため、税率は非常に高く設定されています。
- 納付期限内に申告していた場合:35%
- 納付期限を過ぎて申告していた場合:40%
相続税をすぐに支払えない場合は延納申請が可能かも
例えば、相続した遺産が不動産の場合だと、すぐに現金化するのが難しいこともあり、納付期間内に相続税を払えないケースも存在します。そうした場合、いくつかの条件が揃えば延納申請を提出することができます。
- 相続税額が10万円以上であること。
- 金銭での納付が困難な範囲であると認められること。
- 延納税額に相当する担保を用意すること。ただし、延納税額が100万円以下、延納期間が3年以内であれば不要。
延納申請が認められると、分割での支払いが可能になりますが、利子税が別途かかることになります。利子税率や延納期間は、相続財産に含まれる不動産の割合で変わってきます。
相続財産に占める不動産の割合が3/4以上ある場合は、不動産に関わる部分については最大20年まで延長可能となり、税率は3.6%となります。残りの不動産以外については、延長期間は最大10年間で、税率は5.4%です。
相続財産に占める不動産の割合が1/2以上3/4未満の場合は、不動産に関わる部分については最大15年まで延長可能になります。税率と残りの不動産に関しては、割合が3/4の場合と同じです。
相続財産に占める不動産の割合が1/2未満の場合は、相続遺産に種類に関わらず、最大5年まで延長可能になります。税率は、不動産に関する部分が4.8%、残りの不動産以外については6.0%です。
相続税の時効について〜善意の相続人と悪意の相続人
国税である相続税に時効があることを、意外に思われる人も多いかもしれません。時効の理由は曖昧ですが、膨大かつ複雑な税金徴収を国が処理しきれない場合を想定したものと推察されます。
とはいえ、相続税が時効になることはほとんどないのが現状です。特に相続金額が大きい場合はその可能性がさらに低くなるでしょう。
善意の相続人と悪意の相続人
通常だと税務署からの通告が5年間なければ、時効が成立し、相続税は支払わなくてもいいことになります。ただし、これはあくまでも「善意の相続人」の場合です。「悪意の相続人」の場合だと、時効は7年に延びます。
善意の相続人とは、何らかの理由で相続のことをまったく知らなかったため、申告をしなかった人のことです。これに対して、少しでも相続のことを知り得たのに申告しなかった人を、悪意の相続人といいます。
相続税は期間内に申告することが大切!
このように、相続税の申告を怠ると、その状況に合わせて延滞税や加算税がかかり、延納申請をすれば利子税がかかります。それらの税率はけっして低いとは言えず、もし故意に申告しなかったと判断された場合には、最大40%の税率を課せられることになります。
そして、言うまでもありませんが、時効を期待して待つのはやめた方がいいでしょう。
相続税の手続きは確かに複雑であり、相続人が複数名いる場合などはスムーズに手続きを進めるのが困難なこともあると思います。そうした場合は、弁護士や税理士などの専門家に依頼することも検討してみてください。