考え方や物事の捉え方は人によって違うのは当たり前のことです。
最近文房具店などで見かけるエンディングノートはこの死生観をつづるノートです。
死について考え、生きることの意味を考えさせる死生観とエンディングノートの関係について、これからどう生き、最期を迎えたらよいのか一緒に考えてみましょう。
自分の人生について考える十人十色の「死生観」
人生を振り返り「自分はこう生きればよかった」「自分が亡くなった後はこうしてほしい」など、生きているうちのこと、死んだ後のことを考えることが死生観です。
死生観は人それぞれで十人十色だからこそ、人生の終末に感じた伝えたいことや考え方、死後に家族が手続きなどで困らないための情報は人によって違います。
そのため、エンディングノートは書く人によって内容が変わり、同じものは決してないでしょう。
「私にもしものことがあったら、葬式は家族葬で行いたい」
「妻や子たちの相続はこのように考えている」
「家族との思い出、こんなことがあったよね……」
自分の目で長年見てきた光景や脳裏に焼き付いている思い出、感じること、伝えたいことなどはあって当たり前ですよね。
エンディングノートはあなた自身が長年歩んできた人生を、オリジナルのストーリーとして死生観を表現したノートと言えるでしょう。
死は「避ける」「恐怖心」から「責任」に変化
「死を考えるなんて縁起でもない」、「生きているうちに自分が死ぬことを考えるのはよくない」といった風潮やイメージがひと昔前はあったかもしれません。
しかし、死についてじっくり真剣に考え、死後を見据えるための行動は人によってさまざまです。
以下は、死後に備えて取ることの多い行動の一例です。
- お墓を自分で手配
- 葬儀費用を決め、死亡後に銀行口座が凍結し、現金が引き出されないなどのトラブルを防ぐ
- 遺言書を作成しておく
- 葬儀内容を決めておく
- 遺影を決めておく
自分の死と向き合うのは恐怖心が強く、なかなかできないことかもしれません。
しかし、自分らしく最後まで後悔なく終えたいという行動は実に前向きで、残された家族にしてみれば大きな思いやりを感じる行為ではないでしょうか。
死生観とは自分らしい生き方、終え方でもあり、自由で充実感を得られ、得られるものが大きく残るほど達成感が強まります。
最後に成果を得られたからこそ、エンディングノートを書くことで解放的になれ、死に対する自分の気持ちを素直に表現できるのかもしれません。
エンディングノートを書くという行動は、残された家族にほめたたえられ、結果的にこれまでの人生に「責任」を果たす、その人しか持っていない死生観を表現することでもあります。
死生観をより残された家族や親しい人に伝えたいのなら、エンディングノートを上手に活用してみましょう。
自由に書き記す「自分のガイドブック」
エンディングノートとは、人に伝えたいことや興味のあること、書きたいことを自由に書く「自分のガイドブック」のようなものです。
生年月日や家族構成、親類や友人、家族の思い出、学歴や職歴、加入している保険や年金など自分史を詳しく記載してもよいでしょう。
写真を貼ったり、イラストや漫画で書き記すのも、個性が表われてよいかもしれませんね。
また、延命治療や臓器移植、葬儀の方法や費用、お墓など、亡くなってからの希望や大切な方へ残したいメッセージなどエンディングノートに書く内容はたっぷりあります。
このエンディングノートにつづられた内容こそが人によって形が異なる死生観の表れです。
決して同じ内容にはならないからこそ、死生観が詰まったエンディングノートの価値は残された大切な方にとってかけがえのない存在になり、永遠に心に残り、守り神のような存在に感じることでしょう。
エンディングノートは何歳から書いてもOK!
エンディングノートは自分の意思や伝えたいことを日記感覚で自由に記し、途中でやめて復活するなど気軽に書けるのが魅力です。
明確な規定がなく自由だからこそ簡単なのですが、大抵の方はエンディングノートを書き始める前、「私にはまだ早いと思う」「何を書いたらいいの?」「自分には必要ない」と思うことが多いようです。
しかし、エンディングノートは種類が豊富で売り上げは毎年好調、さらには重版されるほど人気があります。
エンディングノートを書く以前は不安が募り、「自分には書けないのでは?」「必要ない気がする」などと思っていても、いざ書いてみると日記感覚で気軽に書けてしまうので、「気が付いたら情報がぎっしり詰まってしまった!」となることもあるとか。
「もっと書いてみよう!」と自分の死生観が思っていたよりも濃く、エンディングノートを書いているうちに自分の気持ちに気が付くのだそうです。
近い将来、エンディングノートがマスコミなどで紹介されたり、親しい知人達も続々と書き始めたりと、エンディングノートを書くことが当たり前の時代になるかもしれませんね。
最期に後悔しないためのノート
葬儀やお墓、宗教の信仰など、以前は昔のしきたりのままで行うのが普通でした。
しかし、先進国である日本は人の死に対し、伝統や宗教に関係なく、宗教的ではない自分の考えを形にした葬式やお別れ会を行う動き、葬式やお墓にお金をかける時代ではないなど、現代の葬式に対する考えや意識、常識が昔とは大きく異なる事情が増えているのが現状です。
そして今、流行しつつあるエンディングノートには、現代人の死生観が表れ、独創的なエンディングノートが完成するのです。
その内容は執筆者の死に対する自分流の考えや、残された家族に伝えたい言葉や内容などがぎっしり詰まったもので、カラフルな色彩とその人の人柄が表れたものになるでしょう。
エンディングノートは残された人の心に残り、今後の人生の励みとなり、影響を与えることになるかもしれませんね。
家族のトラブルを回避するだけの目的であれば「遺言書」だけで済む問題なのかもしれません。しかし、日頃きちんと伝えたことがなかった感謝の気持ちや希望を時間の余裕のあるときに書き記すことで、自分の人生を振り返り気持ちを整理できるため、よりよい老後を過ごせるような気持ちの余裕ができるのもエンディングノートの魅力です。
エンディングノートは若い世代の中でも流行しています。
どんな年代からでも始められるエンディングノートに自分流の死生観をつづり、「うれしい! よかった!」と思えるものを残してみませんか?