遺産相続は一生に一度あるかどうかのことですが、大きなお金が動くことも少なくないため、トラブルが生じやすいものです。
場合によっては、家族間の関係も悪化してしまうことがあります。
そうしたトラブルの多くは、相続についてよく知らず準備が足りなかったことが原因でもあります。

今回は代表的なトラブル事例を5つ紹介します。ぜひ遺産相続の予備知識として役立ててください。

遺産の確定段階におけるトラブル事例

遺産の確定段階において、具体的にはどのようなトラブル事例が多いのでしょうか?

トラブル事例その1. 財産確定方法が明確でない場合

価値ある資産が多ければ多いほどトラブルの元になるものです。
この場合よくあるのが、どのような方法で財産確定を進めたのかという点です。
例えば、特定の相続人だけで財産の確認を進めると、意図的に一部の資産を隠したのではないかという疑惑が生まれることがあります。

本来は、公明正大に全財産を洗い出して遺産相続額を確定するわけですが、その確認方法によってはトラブルの原因になりかねません。

トラブル事例その2. マイナスの資産がある場合

逆に資産がプラスではなくマイナスの場合も、トラブルになりがちだと言えます。
「損する財産は相続したくない!」というケースです。
この場合、死亡者の債権と負債を合算して相続額を割り出しますので、損をするかどうかは計算してみないとわかりません。
そのため、この仕組みを知らない相続人がいると、スムーズに手続きが進まないことが多いのです。

不動産などの資産におけるトラブル事例

不動産などの流動性の低い財産も、ケースによってはトラブルになりがちです。
例えば、売りにくい不動産だと税金はかかるのに現金化が難しく、多方面から見ても長期的な管理が難しい場合があります。

トラブルの事例その3. 名義の変更が複雑な場合

特に不動産で言えることですが、長期的に名義変更をしてきていないケースがあります。
不動産の所有権移転における名義変更は、訴訟などにおける対抗要件として有効に機能しますが、名義変更しなくても罰則があるわけではありません。

そのため、世代を超えて名義変更をしていない不動産は、相続すると手続きが複雑になっている場合があるのです。

既存の人間関係から発生しやすいトラブル事例

相続でのトラブル
遺産相続のトラブルにおいて、時として泥沼になるケースが、従来の人間関係に起因するものです。
それまで放置できた人間関係が、遺産相続という金銭的な要素が絡む場面になった途端、救いようのない醜さを呈してしまうことも残念ながらあります。

トラブル事例その4. 遺言の有効性

遺産相続では付きものの「遺言書」。相続では法律上の相続項目よりも、遺言書の内容がまず優先されます。
そのため、遺言を違法に改ざんするケースもしばしばあり、そうした疑惑もまた生まれやすいと言えます。

また、法定相続人が遺言の内容を不服を感じると、遺言内容そのものの効力を裁判で争うこともあります。

トラブル事例その5. 未成年相続と後見人

遺産相続を進める際、相続人が未成年である場合もトラブルになりやすいです。
この場合、関係の近い親族が後見人になることがあるため、未成年相続人の判断力欠如から、後見人が財産の着服を進めるのではないかという疑惑が生まれやすいのです。

遺産相続をスムーズに進めるためのポイント

このように、遺産相続はトラブルになりやすいだけに、しっかりと準備をしてスムーズに事を進めたいものです。

そのためには、独断での判断は止めて、適切な方法で対処をして行く必要があります。

弁護士など第三者を代理人に立てる

おすすめなのは、やはり弁護士のような相続仲介に経験豊富な専門家の採用です。
遺産相続手続きを進めるためには、ニュートラルな存在である第三者の介入は良い選択肢と言えます。
このような代理人を介した遺産相続には費用が掛かりますが、相続人同士の人間関係が損なわれるのを防ぐ大きなメリットがあります。

所有者が死亡する前に財産や処理方法を確認する

もし可能ならば、所有者が亡くなる前に財産の整理について話し合いを行っておくことです。
所有者からの意思表示がしっかりとオープンにされていれば、死亡後に遺産相続そのものがトラブル化するケースは大幅に軽減できるでしょう。

このように遺産相続は、相続する家族にとって大きな問題にもなりかねません。しっかりと準備をし、公正に行われるように注意する必要があります。