順番通りに代々受け継いでいる蔵族であれば何の問題もありませんが、ライフスタイルが多様化した今では特殊な相続ケースもあります。
その一つに、代襲相続(だいしゅうそうぞく)があります。これは、法定相続人が既に死去している場合などに、その相続人の子供や孫が代わって法定相続人となるケースです。
今回は、この代襲相続が開始する3つのケースについて詳しく解説していきます。
代襲相続が開始されるメジャーなケース1.相続人の死去
代襲相続が開始される最もメジャーなケースとして、本来の相続人が相続時において死去している状態が挙げられます。
ここでは、相続人死去による代襲相続事情をチェックしていきます。
相続時に相続人が既に死去しているケースが最も多い
相続人の死去によって、代襲相続が進められるパターンは最も多いです。
長寿国家である日本でも、親よりも子世代が早く死去してしまうケースも意外と多いのです。
この場合は、祖父母世代の相続は孫世代が代襲せざるを得ないでしょう。
今後は代襲相続ケースも増加していく
この相続人死去による代襲相続ケースは、目まぐるしく社会構造が変化する現代社会では増加していくと見られています。
特に子供世代は故郷を離れて働くことも多いので、ストレスも溜まりやすいご時世です。このことが、親世代と子世代の死去するタイミングが前後してしまう原因にもなるでしょう。
代襲相続が開始されるメジャーなケース2.相続人の欠格
代襲相続が開始されるケースとして2つ目にご紹介するのが、相続人として欠格、つまりその資格を喪失するケースです。
相続人の資格を喪失するなど明らかに穏やかな事情ではありませんが、一体どのような事情があってこのような状態に至ってしまうのでしょうか?
相続資格のある人が違法な行為などが原因で資格を失う
相続人としての資格を有していた者が資格を失うケースとして、以下のようなものが挙げられます。
- 何らかの違法な行為によって被相続人に被害を与える
- その他の相続資格者の相続に不利になるように仕向ける
このような相続資格者は法律に抵触してしまい、法的に相続人としての資格を失いますので、代襲相続の開始がなされる訳です。
兄弟の多い家庭では相続人の欠格ケースは起こりやすい
このような状況は兄弟の多い家庭で発生することが多くあります。また、兄弟間における能力の差などが成長後に軋轢となって、関係悪化にも繋がっていきます。
相続人資格者が多ければ欠格ケースも当然多くなるのは必然的と言え、今後も潜在的に発生する代襲相続原因でしょう。
代襲相続が開始されるメジャーなケース3.相続人の廃除
3つ目の代襲相続開始ケースが、相続人が請求によって廃除されるケースになります。
相続では法定相続人の存在は最も大きいものですが、被相続人との関係が決して良好ではないケースも数多く見られます。
このような場合は、相続全体がスムーズに行かなくなる恐れもあるでしょう。
被相続人が死亡していない段階で相続人が排除されるケース
相続人の排除請求は、生前の被相続人から出される形になります。
相続資格者が廃除される要因としては、特定の相続資格者が被相続人を著しく侮辱や虐待などをした場合が多いです。
被相続人は、このような事由によって家庭裁判所に請求すれば、特定の相続資格者を法定相続人から廃除できるのです。
一般的に遺留分が認められる法定相続人に限られる!
相続資格者の廃除は、法的に「遺留分」(法定相続人に最低限確保される遺産)が認められる法定相続人のみに対して、一般的に進めることができます。
法定相続人の中には被相続人の兄弟姉妹などもいますが、彼らは「遺留分」が認められていないので廃除の対象ともなり得ません。
代襲相続の開始後に問題になりやすいケースは?
代襲相続では、開始後に様々な問題に陥りやすい傾向があります。ここでは、現在の日本社会でとりわけ発生しやすいケースを解説していきます。
代襲相続人とその他の相続人との関係が良好でないケース
1つが、代襲相続人と他の法定相続人の関係があまり良好でないケースです。一般的に代襲相続人は他の法定相続人よりも年少なので、財産の取り分に関してそれほど変わらないことに不満を抱く法定相続人もいます。
通常、弁護士などの代理人が入っていれば大事には至りませんが、相続額が大きくなればなるほど問題が深刻化することも多くなるでしょう。
どんな遺産を相続するのかも理解しないままに代襲するケース
もう1つが、代襲相続人自身がどのような遺産を相続するのか理解をしないまま、相続に至るケースです。
代襲相続人は全く違う場所に住んでいることも多く、遺産などの事情にも全く関心がなかったというケースもあります。
そのため、場合によっては負債などのマイナス財産が存在していることも知らないまま相続するケースもあって、その後問題に発展することも多いでしょう。
代襲相続にはこのような3つのケースがありますが、意外とよくあるパターンなので決して他人事とは言えません。
上記のような問題に注意して、慎重に進める必要がありますね。