相続においてよく耳にする「遺言書」。遺言書はその内容の正確性はもちろん、それが公正に作成されたものなのどうかが重要視されます。
通常、日本には3つの遺言書作成方法がありますが、その中で最も信頼性が高いのが、「公正証書遺言」です。
「公正証書遺言」とはどのようなものか?
遺言書というと、相続資格をもつ家庭のプライベートな事柄が記載されている場合も多く、それだけにその扱いは慎重にならざるを得ません。
その際、遺言書が信頼性の高いものであるかどうかが、迅速な相続進行にも大きく影響を及ぼします。公正証書遺言を選ぶことで、安全かつ確実にその目的を果たすことができるでしょう。
公正証書遺言には、どのような特性があるのでしょうか?
公証役場の公証人によって作成される遺言書
公正証書遺言とは、簡単に言うと、日本全国に設置されている「公証役場」に在籍する「公証人」によって遺言書を作成してもらう遺言書です。作成元が国の機関であることは、遺言書の信頼性を大いに高めるものです。
公証役場は、一般的に地方法務局の近くに立地しているので、各エリアからも比較的アクセスしやすい場所にあることが多いです。
公正証書遺言の作成数は年々増加傾向
公正証書遺言ですが、毎年作成案件数は増加傾向にあります。どのような事情で構成証書遺言の人気が高まっているのでしょうか?
複雑な人間関係により遺言書が作りにくい
家族であっても必ずしも良好な関係ばかりとは限りません。
それは被相続人と相続人の間においても同じでしょう。
そのような状況では、被相続人が正しい遺言書を作ったとしても、相続人が快く評価しない可能性があります。
このような場合、公証役場の公証人や証人と一緒に作成することで、信頼性のある遺言書を残すことができます。
公正証書遺言のメリットとは?
ここからは、遺言書の作成方法として公正証書遺言を選ぶメリットについて、具体的に考えていきたいと思います。
遺言書にまつわるトラブルは様々ですが、公正証書遺言を選ぶことで、そのいくつかを事前に防ぐことができるかもしれません。
遺言書偽造のリスクが低くなる
遺言書偽造トラブルは毎年巧妙になってきており、そのリスクコントロールは相続を進める上で大きな課題となっています。
公正証書遺言を使う最大のメリットは、多くの方が心配される遺言書の偽造リスクがほぼなくなることでしょう。公証役場で作成してもらえるだけでなく、その原本そのものが公証役場にも保存されるからです。
迅速な遺言書作成が可能
遺言書の作成方法として自筆が一般的ですが、これだと家庭裁判所による検認作業が被相続人の死亡後に必要となってきます。
相続で重要なのは、迅速かつ正確に手続きを進めることです。手続きが滞ることは、トラブルの原因にもなりかねません。その点、公正証書遺言は家庭裁判所の検認が必要ないので、迅速な相続手続きを進めやすいと言えます。
公正証書遺言のデメリットとは?
では一方で、公正証書遺言の作成によるデメリットはないのでしょうか?
公証時に第三者証人が必要で機密性を保てない可能性がある
公証役場にて作成作業を進める際に、公証人以外にも2人の第三者証人の立会が必要になります。このことは逆に言えば、第三者に遺言書の内容を知られてしまうことを意味しています。
選んだ証人が信頼できる方であればプライバシーは保たれるはずですが、機密を保てないという可能性は少なからず存在しています。
相続する金額に応じて一定の費用がかかる
公正証書遺言の作成には、一定の費用がかかります。
相続額によって手数料が定められていますが、高額になるほど割安になります。
そのため、相続金額が小さいほど手数料を負担に感じるかもしれません。
相続において、遺言書の効力はかなり大きなものです。遺言を正しく伝えるためには、公正証書遺言書の作成は有効な手段と言えるでしょう。