遺産分割協議証明書の作成で気をつけることは?

遺産分割協議証明書には実印が必要

遺産分割協議証明書は、相続人全員が署名し、捺印する必要はありません。相続人1名だけの署名と捺印があれば有効なものとして認められます。
この捺印は実印登録されている印鑑証明の添付が必要なので覚えておいてください。
書面はパソコンでも手書きでも構いませんが、パソコンで作成しておくと、後々の修正にも便利でしょう。

遺産分割協議証明書に決まった書式はありませんが、書くべきことの注意点はいくつかあります。

遺産分割協議証明書はどんな時に必要か?

遺産分割協議書は必ずしも必要なものではありませんが、下記のような手続きをする場合には必要です。
書き方についても合わせて述べておきます。

1.不動産の名義変更、相続の登記
不動産の相続がある場合、法務局に提出している土地の詳細をそのまま書く必要があります。
所在:xx県xx市xx番xx丁目等登記通りに。
地番:登記通りに
地目:宅地など
地積なども登記通りに書きます。

2.預金の名義変更
金融機関等の表示も預金が複数ある場合、記載します。ローンなども債権として入れます。
1.xx銀行○○支店に有する預貯金-普通預金・定期預金等全て
2.xx銀行○○支店に有する預貯金債権/普通預金・定期預金等全て
などと記載しましょう。

3.その他
後から相続遺産が見つかった場合の事項も記載しておきましょう。
(例)本協議書に記載のない遺産及び遺産が後日発見された場合は、相続人の間で改めて協議を行い分割を行うものとする。
といったような文面です。

4. 残りの遺産について
記載以外の遺産についてはxxが相続する、といった記載も必要に応じて入れましょう。
(例)残った預貯金(債権)については、相続人xxxxが相続する。
といったような文面です。

遺産分割協議証明書のメリットと正しい書き方

署名

遺産分割協議証明書のメリット

遺産分割協議書と違い、遺産分割協議証明書は、相続人がそれぞれ自分の署名捺印書類を作成すればよいので、相続人同士で集まる必要がありません。
それぞれの書類を1か所(通常は司法書士や弁護士などの事務所になります)にまとめるだけで手続きが有効になります。

ここが遺産分割協議書との大きな違いで、遺産分割協議書が1枚の書類にそれぞれの相続人全員の捺印が必要なことに比べて、手続きもスムーズに進みます。

実際、相続人全員がバラバラな地域に住んでいると、1枚の書類に相続人全員の署名捺印が必要な遺産分割協議書の作成は、非常に時間がかかるものです。
また、郵送途中で紛失した場合のリスクも高いと言えます。

遺産分割協議証明書の正しい書式例

今はインターネットでも司法書士事務所や弁護士事務所が、遺産分割協議証明書のひな形を多く出していますので、参考にして書くのもよいでしょう。
ここではオーソドックスな書式をご紹介します。

(例)遺産分割協議証明書
被相続人 〇〇〇〇(平成◯年◯月◯日死亡)⇒亡くなった被相続人の名前
生年月日 昭和◯年◯月◯日
本籍地  (戸籍そのままの本籍地)
最後の住所(最後に住民票に合った現住所)
上記被相続人、〇〇〇〇の死亡により開始した相続について、上記の者の相続人全員が
◯年◯月◯日に被相続人の遺産について協議を行った結果、以下のとおり遺産分割の協議が成立したことを証明する。

(不動産や分割協議の内容について記載をします。)

平成◯年◯月◯日
住所 ◯県◯市◯区◯丁目◯番◯号
生年月日 昭和◯年◯月◯日
相続人 xxxx 実印  ⇒ 相続人である人がそれぞれに自分の実印を押します。

遺産分割協議証明書に提出期限はないが、相続税には申告期限がある

遺産分割協議証明書は、相続する遺産に不動産や現金(預金)があった場合には必ず必要となります。
提出期限は特にありませんが、相続税の申告には相続開始後から10か月という申告期限あります。
この期限を過ぎると、税法上の還付や恩恵が受けられないことになりますので注意しましょう。
手続きをスムーズに進めるためにも、不明な点は弁護士や司法書士など専門家などに相談するのもおすすめです。

初めてこのような書類を作成する時には、なかなかうまく書けない人もいると思います。
あまり難しく考えず、気をつけるポイントだけ注意して、署名捺印の上、最後に専門家にチェックしてもらってから提出すると良いでしょう
初めから専門家に任せてしまうという方法もあります。
相続人が多く、ばらばらなところに居住している場合には、ぜひ遺産分割協議証明書を活用してください。