遺産分割調停のしくみや流れを理解しよう
遺産分割調停とは被相続人が亡くなった後の遺産分割協議がまとまらず、相続人同士の折り合いがつかない時に、家庭裁判所の調停委員会を介して話し合いを進める手続きです。
話し合いの結果次第では、自分の相続分が減ってしまう可能性があります。
できるだけ優位に進めるにはどうすればよいのでしょうか?
不成立なら裁判へ。遺産分割調停の流れ
1.)相続人と相続財産を確定して申立書と必要書類を作成、家庭裁判所に提出し、遺産分割調停の申し立てをします。
費用は被相続人1人につき、収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手(※)。
2.)調停期日、相手方との話し合いが始まります。(弁護士がいる場合は同席)
家事裁判官や調停委員が間に入り、中立な立場で双方の意見や希望を聞き、解決に向けた提案や助言をしてくれます。期間は3ヶ月〜長くなると1年以上かかります。
3.)合意に向けた話し合いが成立した場合は遺産の分割が決定され、裁判所が調停証書を作成します。これにて遺産分割調停が成立となります。
話し合いが決裂した場合は調停不成立となり、遺産分割調停そこで終了しますが、今度は裁判手続きが自動的に開始され、審判によって審理、結論が出ます。
※切手代は家庭裁判所によって異なります。申立てをする裁判所へ確認してください。
遺産分割調停の申立てに必要な書類
- 申立書の原本1通と、その写しを相手方の人数分
- 当事者目録
- 被相続人の出生時〜死亡時までの除籍戸籍・改製原戸籍謄本(※1)
- 被相続人の子やその代襲者が死亡している場合はその子の出生時〜死亡時まで除籍戸籍・改製原戸籍謄本(※1)
- 相続人全員の戸籍謄本(※1)と、住民票もしくは戸籍附票
- 遺産目録(被相続人の財産を借金や負債も含め、分かりやすく表にしたもの)
- 現在の残高証明書や預金通帳の写し(※2)
- 不動産登記事項証明書または固定資産税評価証明書遺産(※2)
(※1)申立て前に入手できない戸籍がある場合は、申立て後に追加提出しても構いません。
(※2)不動産、預貯金がある場合
調停員への印象を良くするのが、遺産分割調停を優位に進めるポイント!
遺産分割調停を優位に進めるには、調停委員に良い印象を与えることが重要です。調停委員は中立で公正な立場とはいえ、より印象の良い人に味方してくれます。
では、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?大切なポイントをまとめてみました。
立ち居振る舞いや接し方に気を配ろう
気を配るといっても、挨拶をきちんとする、相手の悪口や汚い言葉を使わないなど常識的なことばかりですが、話し合いがまとまらないイライラで、態度が悪くなったり、不満やストレスを調停委員にぶつけてしまう人も少なくありません。常に冷静に、礼儀正しくいることを心がけましょう。
また、特別気を使うことではありませんが、服装や髪型は華美になり過ぎない、清潔感のあるものを選ぶといいでしょう。
嘘や隠し事は絶対にダメ!
調停を有利に進めたいからといって、自分に都合の悪いことを隠したり、嘘をつくのは絶対に慎むべきです。嘘がバレた時に調査委員の印象が悪くなりますし、調停が無駄に長引く原因にもなります。
調停委員からの質問に対して、記憶が曖昧、または答えに困った場合は、回答を次回に保留しましょう。
自分の希望ははっきりと、でも無理な主張ばかりしない
具体的な数字を述べるなどして、自分の希望や意向ははっきりと言いましょう。
あらかじめ紙に書き出してまとめておくと間違いがありません。
ただし、いくら自分優位に話を進めたいからといって、自分勝手な言い分ばかり主張するのはやめましょう。調停委員に身勝手な人という印象を与えてしまいます。
ひとりでは自信がない場合は弁護士にサポートしてもらう
口下手な方や高齢の方は弁護士に同席してもらうといいかもしれません。費用はかかってしまいますが、申立てに必要な手続きを全て任せられますし、法律のプロが常にサポートしてくれるのは大変心強いです。
遺産分割調停では、家事裁判官や調停委員といった立場が中立な人が間に入り、公正な分割を話し合うことになります。優位に話しを進めるためには、あくまでも冷静さを失わず、礼儀正しく対応することが大切です。