土地の相続税評価額は路線価方式か倍率方式よって算出される

遺産を相続した場合、その財産の金額や価値によって相続税の額が決まります。
では、相続した土地の評価や価値はどのように算出されるのでしょうか?
その方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。

路線価方式を使った計算方法

路線価方式とは、国税庁が示す道路や路線に面する宅地1㎡あたりの値段「路線価」を用いて、相続税の課税価格を算出する方法です。
国税庁のホームページには全国の路線価が記載された「路線価図」がいつでも閲覧出来るようになっており、その年の路線価は毎年8月ごろ公表されます。

路線価図には1㎡辺り価格が千円単位で表示されており、「400C」と書かれていたら1㎡40万円となります。
この単位に地積を掛けたものが相続税評価額になります。

例)路線価1㎡40万円、地積120㎡の土地の場合
路線価400,000円×地積120㎡=相続税評価額48,000,000円

ただし、これは土地が正方形で道路に直面している場合の基本的な計算方法です。実際の土地は細長かったり道路に挟まれていたりと様々ですよね。
そのような場合には「路線価×地積」を基準に「画地調整率」という補正を加え、正確な評価額を算出します。

画地調整の対象になる土地

  • 奥行きが長い、または短い(奥行価格補正率)
  • 間口(道路に面した辺)が狭い(間口狭小補正率)
  • 間口に対して奥行きが長い(奥行長大補正率)
  • 道路に挟まれている(二方路線影響加算率)
  • 角地にある(側方路線影響加算率)
  • 公道に接していない(無道路地補正率)
  • 崖地(がけ地補正率)
  • 形状が正方形や長方形ではなく、三角形などである(不整形地補正率)

画地調整の対象となる土地は様々で、項目によってそれに応じた補正率があり、国税庁のホームページで確認することができます。

路線価のない土地を評価する時は倍率方式で評価

路線価は全国の主要な市街地の土地には設定されていますが、全ての土地に定められているわけではありません。
路線価で定められていない地域の土地の評価額を計算するときは、固定資産税評価額に国税庁で定められた倍率を賭けて算出します。
土地の倍率は地域ごとに定められており、路線価のように毎年改訂されます。

土地には9種類の地目が定められている

土地の地目
農地や山林など、宅地以外の土地を相続する場合もあります。土地にはそれぞれ地目が定められていて、評価方法は倍率方式または比準方式になります。比準方式とは、宅地として利用することを仮定して評価する方法で、1㎡辺りの価格は路線価格方式か倍率方式で算出します。

宅地以外の地目の評価方法

    • 田畑

純農地・中間農地は倍率方式、市街化周辺の農地は比準方式、市街化農地は倍率方式または比準方式で評価。

    • 山林

純山林・中間山林は倍率方式、市街地山林は比準方式で評価。

    • 原野

純原野・中間原野は倍率方式、市街地原野は倍率方式または比準方式で評価。

    • 牧場

原野と同様

    • 沼地

原野と同様

  • 雑種地(駐車場やゴルフ場、運動場など)
    雑種地の状況や付近の土地をみて決定する。

相続される土地の評価額は公示価格の80%辺りが目安

土地の評価額は、土地の形や地目によって計算方法が補正されるので、複雑でわかりにくいと感じる人が多いかもしれませんが、宅地の場合だと、公示価格の70〜80%がおおよその目安だと覚えておきましょう。

単純に考えると現金よりも土地の方が相続税は安くなる、ということになります。しかし、路線価は売買価格などを参考に毎年改訂(毎年1月を評価時点として8月に公表)されますが、売買価格は常に変動するものなので、場合によっては路線価のほうが高くなってしまう場合もあります。

また、200㎡までの土地を相続した場合は、評価額が軽減される特例があります。この特例は生前贈与には適用されないので注意してください。