相続を行う上では、ほとんどの場合において共同相続という言葉が出てきます。
ではそもそも共同相続とは何なのでしょうか。また、共同相続のトラブル事例などもご紹介していきます。
共同相続人は法定相続人全員のこと
共同相続人は法定相続人に該当する全員を指します。
法定相続人には相続権の順位があり、子・孫・ひ孫などが第一位法定相続人、両親または養父母・祖父母などが第二位法定相続人、兄弟姉妹・甥・姪などが第三位法定相続人となります。
この他、被相続人の配偶者は常に法定相続人となります。
この順位が同じ人物が複数いる場合に共同相続となるのです。
逆に法定相続人が一人だけの場合は、当然共同相続人の存在もありません。この場合を単独相続と言います。
共同相続人は民法で規定されている
民法第896条を確認してみますと、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定められています。
そしてもう一つ、民法898条には、「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」となっています。
このことからわかるように、被相続人が死亡した時点で、生前所有していた全ての相続財産は、法定相続人全員で共有する財産ということになるのです。
配分は協議により自由に決められる
被相続人による遺言者、または死因贈与契約が残っていればそれに従うことになりますが、そういったものが何も無い場合は法定相続人全員の共有財産と決められています。
共有財産の具体的な配分例についてご紹介しましょう。
例えば、被相続人である夫の相続人が配偶者、及びその子供二人となっていた場合、夫が生前に所有していた全ての財産は、配偶者に50%、その子供たちに25%づつ配分されます。
夫の財産は自動的に、相続人である配偶者とその子たちの共有財産となりますので、相続人たちの間で特別な協議をする必要はありません。
上記の配分はあくまでも一般的な数字であり、きちんとした遺産分割協議を行うことにより、自由に決めることが出来ます。
不動産の共同登記には同意は不要
不動産も立派な財産であり、被相続人が不動産を持っていた場合には、その不動産を相続登記することになります。
基本的には相続の当事者全員で申請する必要があるのですが、もし「共同相続登記」とする場合は、代表者一名のみで申請が可能です。
この際、他の共同相続人からの同意を得る必要は無く、単独で申請することが出来ます。
しかしこの不動産の共同登記が原因となって、トラブルが生じる可能性があります。
共同登記によるトラブルはその後の関係にも影響?
被相続人の不動産の登記名義を共同相続人全員にした場合は、トラブルが起こりやすくなります。
単独相続で名義人も単独でしたら特にトラブルが発生することもありませんが、価値のある不動産を共有するとなると、人間関係に亀裂が入る可能性もあるのです。
不動産利用の同意が難しくなる
不動産の管理行為に関しては、持分の価額に従って共同相続人の過半数から同意を得る必要があります。
さらに農地から宅地、宅地から農地など、不動産の変更をする場合は共同相続人全員から同意を得なければいけません。
このことから、不動産の共有者間で意見の食い違いが発生し、不動産の利用において個々の同意を得るのが困難になることがあります。
その結果、不動産の利用方法が制限され、共同相続人同士で法的な争いが生じることも少なくありません。
このように共同相続は、確かに平等の立ち位置になるわけですが、財産の価値が大きければ大きいほど共同相続人同士でのトラブルが生じやすいのです。
後々のトラブルを最小限に抑えるためにも、事前の遺産分割協議では細かなところまできちんと話し合いをしなければいけません。
また弁護士などの立会人を付けるなど、相続トラブルを極力無くすことが大切です。